2011年3月17日木曜日

「リリアン・テルミ・ハタノさんからのメッセージ」(転載)

リリアンのメッセージを転載させて頂きます。

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リリアン・テルミ・ハタノさん(ブラジル出身)からのメッセージ

この間、ブラジル学校関係者と話していて、みなさんにその叫びと聞こえた状況報告 をきいていただければと思います。是非考えていただきたいと思い、メールします。

地震の影響を受けている地域の人々の中には当然、日本国民でない人々もいます。身 体の不自由な方、高齢者、日本語が分からない方、様々な人びとが被災しています。 メディアでは、私が見ている範囲では、日本語がわからない人のことはあまり報告さ れていません。外見で分からない、いわゆる「見えない外国人」の人達はきっと本当 に不安に思っていることでしょう。外国人のことに関心がある多くの人びとはいろい ろと協力しています。それを訴えることさえできない状況もあるでしょう。こんな時 に「当事者」に冷静になるようにというのも大変だと思います。

被災地周辺にはブラジル学校もあります。少しばかりその状況についての報告させて ください。自分には関係ないと思うかもしれませんが、必ずしもそうではないこと は、この長文を読んでいただければ分かると思います。

ブラジル学校がなぜ日本だけに増えたのかを少し考えていただければと思います。現 在、ブラジル学校協議会によると、ブラジル学校は全国に78校あると言われていま す。地震後、どの位の学校が本当に存在しつづけるのか、正直分かりません。いろい ろな立場、視点でみれば、もちろん、いろいろな考えがあります。しかし、この時だ からこそ、「多文化共生」が語られるときに、今後こんなに地震、津波、火山、原子 力発電所、少子化、高齢化の問題が山積みになっている社会が今後どのような社会と して成り立って行くのか、日本国民がどう生きて行きたいのか、外国人の私には分か りません。心配しています。

ブラジル学校のいろいろな研究もされてきましたが、今の緊急時にその状況がよく見 えてきます。誰が悪いのかを探しているのではありません。もちろん、手に負えない 状況ですが、是非考えていただければと思い、メールします。

私が把握している範囲では、ブラジル学校の建物自体は今のところは大丈夫です。た だ、地震以降、あるブラジル学校の校長と話したら、企業、派遣会社、保護者はかな りのプレッシャーを感じているそうです。それがどのようなプレッシャーかお分かり でしょうか。是非想像していただければとおもいます。

燃料が不足している地域で、家と学校の距離が遠く、学校への送迎が原則のブラジル 学校の子どもたちを一日も早く、子どもを預かってほしいというのです。保護者はこ のような状況の中でも仕事をしなければならないから。会社の方は、労働者がいなけ ればどうしようもないと言います。学校を一日も早くやるようにという電話がくるそ うです。燃料が制限されているのに、どうすればいいのか、そういう状況で、子ども をあずかって、責任は大きすぎるというのです。もっともなことでしょう。 ブラジル学校がある周辺では、飲食店、コンビニなどに商品を提供する会社で休めな いというのです。会社も生産をつづけなければならなく、あらゆる影響がでます。あ らゆるところで外国人がこの社会を支えていることが案外見えていないようです。

では、企業が悪いのでしょうか? そうとは言えません。保護者が出稼ぎだから、お 金のことしか考えていないからでしょうか? 本当にそうでしょうか。誰でも生活を しなければならないのです。

学校側は、あらゆる不安を抱えていながら、預からなければ経営が成り立たない、難 しい判断をしなければならない。このような非常事態にいわゆる「学校」ではないか ら、どう対応していけばいいのか、確かな情報、彼らに多言語化した情報が届かない 状況があります。地域差はあるでしょうが、「リリアン、原子力発電所は本当に大丈 夫なの? どうすればいい?」ときくのです。とにかく、私もとにかく落ち着いて、 周りの関係者としっかり話し合うようにというしかありません。ここは、責任者をさ がしているのではなく、ぜひ、そういう不安な状況で、さらに不安を抱えている子ど もたちの存在を忘れないでほしい。 一日も早く日本を出て行きたいと思っている保 護者も多くいます。何も準備しないで、このような状況で帰国したとしてもと思って しまうところもありますが、これは、個々の判断でしょう。 個人的には出て行きたいと思っているブラジル学校経営者でも、先生たちが相次いで 辞めていけば、「教育の質」も保てなくなり、学校を維持できなくなります。

今、例えばブラジル学校が全部閉鎖されたら、日本の学校が本当に暖かく迎え、保護 者も安心して預かってくれる場所で、先生方、学校関係者は喜んで受入れてくれるの でしょうか。受けられるのでしょうか。外国人学校が果たしてきた社会的な役割は極 めて大きいはずだと理解できると思います。

個人的にできる範囲で、確かな情報だと思えば発信していますが、とても手に負えな い規模の問題です。限界です。このようなことをやっていて、意味あるのかと疑問も 感じてきました。

是非、これを受け取っている人で、適任でもっと的確な対応できる人ご存知でした ら、このような時に、ブラジル学校をはじめとする、外国人学校の状況を是非総括的 に考えていただくこと、その保護者がこの社会で安心して生活し、この社会を支え続 けることができるよう願うばかりです。

一人ひとり日本で生活している人びと、この社会の多様性とどう向き合うのか、難し い問題はたくさんあるのは分かっていますが、是非考えていただければと思います。

長々と混乱した文章ですが、どうか、考えていただければと思います。子どもたちは 本当に不安な状況にいます。「外国人からの献金問題」後、自分の立場を思い知らさ れました。しかし、この非常事態ですので、それでもあらゆる心配しています。 被災地では、そこにいる人びとは間違いなく助け合っています。それをきいて、安心 はしました。しかし、テレビを見ながら、遠くから状況をみている人は、普通に生活 するのは当然必要ですが、その普通の生活がどのように維持されているのかを想像す ることができているのでしょうか。

とにかくこの社会で理解者が増え、外国人をふつうの人間として受入れて、協働でこ の社会をささえ、つつけて行くことができる社会づくりが進むよう願いたいです。

リリアン lilian★socio.kindai.ac.jp (★を@に)

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