2008年11月12日水曜日

[まちづくり] 第9回ウトロまちづくり研究会(3)

<レジュメ (2)のつづき

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ウトロの新しいまちづくり基本構想(案)


ウトロまちづくり研究会

3.ウトロ・コミュニティ




2002年6月、在日コリアンの高齢者福祉に取り組むNPO、京都コリアン生活センター「エルファ」の分室がウトロで開設されました。ハルモニ(おばあさん)たちを、同胞のヘルパーが世話をするデイサービスが始まりました。


「植民地時代に朝鮮半島から日本に渡ってきた一世たちは苦難の人生を送ってこられました。高齢になって一人暮らしになったり、親しい友だちを亡くされたり、さびしい思いを抱いたハルモニたちが、ここに来て、古い友だちと再会し、昔懐かしい話に花を咲かせたり、チャンゴの音に乗って、忘れていた歌を歌ったり、踊ったり、一緒に体操をしたり、いろいろな工作物を作って遊んだり、ハルモニにとっては孫のようなヘルパーさんたちに甘えて、楽しい時間を過ごしています。ハルモニたちの誕生日会では、その月に生まれたハルモニたちをきれいに化粧して、チマチョゴリを着せて、写真をとって、ご馳走を並べて祝ってあげるのです。そんな、普通のウトロの住民が、安心してここで暮らせる日が来ることを願っています。」(住民のひとり)


「いつ立ち退きされるかと不安をかかえる中で、この地域の高齢者たちのくつろぎの場ができたことは意義深い。ウトロは在日コリアンの証言の場。苦労を重ねて来た人たちの笑いの拠点であってほしい」と、金教一町内会長。ウトロを在日朝鮮人の地域福祉の拠点にする取り組みが始まりました。


長い年月の経過とともに、ウトロ集落の実態も大きく変化してきています。人口が周辺に流失して、地域内に空き家も目立つ状態になりました。とくに比較的経済力のある若い世代(標準世帯)がウトロから近くに転出し、生活保護、高齢者単身世帯などの「社会的弱者」がウトロに残るという傾向が続いています。子どもの数が減り、成長すれば外に出て行きます。在日一世の高齢者はこの地を離れてはとても生きていけません。高齢者のみの世帯の場合も多くあります。


地上げ事件の発生から20年間、ウトロ地区内では住宅の新築、増・改築はほとんどなく、木造家屋は経年による老朽化により居住条件がますます悪化しています。周囲の住環境の劣悪さも放置されたままです。毎年のように豪雨時には周辺の公共水路が溢れ、床上・床下浸水する被害が発生しています。ウトロ地域には未だに上水道がなく、飲み水を井戸水に頼っている世帯が3分の1あります。また、高齢者はウトロ・コミュニティの中だけで一日中生活しており、高齢者住民の居住実態はすでに限界を超えています。特にトイレ、風呂場、玄関などの部分的な改修工事(バリアフリー)の必要性も増しています。また、介護保険制度など、利用できる制度や内容について住民の知識は十分ではありません。


戦後半世紀以上、ウトロの土地は朝鮮人全体の歴史的、社会的共有財産であるかのように、在日朝鮮人社会では広く認識されてきました。土地の譲渡や売買は共通の価値観で結ばれた朝鮮人同胞の間だけで行われてました。多くの場合、口頭だけで契約書はなく、トラブルもありませんでした。仮にトラブルがあったとしてもその社会の中だけで解決されました。朝鮮人コミュニティとその社会規範の中で、住民は安心して生活できたのです。そして、その土地は居住を支える基礎でした。ウトロの土地は単に金銭売買の対象とされる商品でも、資産ストックの手段でもありませんでした。土地は人間が定点で生活するための基盤であり、居住福祉の向上のために利用する社会的資源です。


ウトロは「在日朝鮮人のふるさと」であると同時に、周囲の日本人地域社会と共生するメッせージを発信する拠点であることが求められています。



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以下、青ひょん(引用者)

<「エルファ」
よう開業してくれはったと思います。老人デイサービスセンター、介護事業業界に携わる方ならお判りいただけるでしょうが、エルファも同じく大変厳しい状況で業務を行っていると聞きます。悩みのたねは尽きることがないですね、、。(僕個人の仕事的には、介護事業業界、福祉事業業界に係わりあいがないので実際のところ実情をよく判っていません)

<「上水道がなく」
土地裁判闘争の前夜、「水道無くて困る!なんとかならないか!?」と対行政の取組みの中、地域内のメイン通路に上水本管を敷設して頂く経緯がありました。消火活動に用いる消防水利(消火栓バルブ、100m包含)の設置のためにも上水本管が必要だったわけです。アスファルト本復旧はなされてないままですが、上水本管の敷設が行われました。 しかしながら、本管から延長距離の短い世帯は良いのですが、遠いと、自己負担による上水の引込み工事は結構な金額になるので → 諦めて → 今までどおり井戸水ポンプアップ、、、ということで、上記の通り世帯の3分の1は上水道を使用できておりません。その後、大腸菌騒ぎがあったりで、結構やっかいです。

<「多くの場合、口頭だけで契約書はなく、トラブルもありませんでした~~」
驚く話だけど、僕も実例を幾つか聞いており知っている。ウトロ住民の多くがそうであったのかは知らない。また、その「ウトロルール」がどのような前提に基づくものなのか、、、なんて辺りは、殆ど誰も明確な認識を持って居なかったのではないかな、、、と想像する。

少しズレる話だけど、僕の実家(大阪)でも生活互助組織みたいなものはやっぱりあって、その全体像は見えないんだけど、ケモイム(契集会?)(韓国風「たのもし(頼母子)」みたいな生活互助)の繋がりもあった。村社会内ルールとかの経験の無い新興住宅育ちの僕の妻には、町内会のようなものだと説明するが、何というか、よく判らない「結びつき感?」とかは、想像つかんだろうなぁ。

翻ってウトロにだけで通じる(通じた)そういったルールの「なんとなく、そうなんだよ」という感覚は、よそ者の僕には体得できないものなのかもしれない。

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「4.「新しいまちづくり」の基本項目」に続く

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

こんちー

ウィキペディアでの「ウトロ地区」
の 項目に 「多くの空襲焼け野原での日本人集落とおなじで、」

などと、手を加えてみましたぁ。

11/20木曜7時、宇治文化センターでの
候補予定者共同インタビューに来ませんか?

ムン青ヒョン さんのコメント...

メッセージありがとうございます。
市長選ですか、情報ありがとうございます。

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コメントありがとうございます。

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/青ひょん